
2025年10月、東京のアートシーンは見逃せない展覧会であふれている。
昨年101歳で逝去した染色家・柚木沙弥郎の個展や、「ワタリウム美術館」での世界のストリートアートをリードするオスジェメオスとバリー・マッギーによる初のコラボレーション展など、今しか出合えない作品が揃う。この秋、心に響く一枚を探しに、アートの街へ出かけてみてほしい。
2025年10月、街はアートでより自由に開かれる。
「エスパス ルイ・ヴィトン東京」ではアンディ・ウォーホルの個展、「シャネル ネクサス ホール」ではAIアートとエコロジーが交わる展示、「21_21 DESIGN SIGHT」では「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」による照明の展示などが入場無料で楽しめる。リスト片手に街を歩けば、日常の景色がアートに変わるだろう。
地域の魅力を舞台に、国内外の現代アートやパフォーマンスが一堂に集う「芸術祭」。街そのものが美術館や劇場へと姿を変え、数日間にわたってアート漬けの特別な時間を楽しめる。
ここでは、2025年9月~10月に全国で開催される注目の芸術祭やアートイベントを厳選して紹介する。毎年六本木の街を彩る「六本木アートナイト」、現代美術の最前線を体感できる「国際芸術祭あいち」、そして初開催となる舞台芸術祭「秋の隕石」まで、多彩なプログラムが並ぶ。
芸術祭はアート鑑賞にとどまらず、その土地ならではの食や文化を楽しめるのも魅力。旅とセットで訪れるとことで、アート体験がより豊かで忘れられないものになるはずだ。
秋風とともに、自然の神秘と科学の驚きに出合うチャンスがやってきた。恐竜や絶滅生物、宇宙の謎まで、東京・大阪で開催される注目の展覧会で、未知なる世界を体感しよう。
「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」では迫力の化石と映像で地球の大事件を追体験。「わけあって絶滅しました。展」では絶滅生物たちの物語がユニークに語られ、「チ。―地球の運動について―」では地球の動きを肌で感じられる。五感で味わう発見の旅が待っている。
2025年10〜11月にかけて、人気アニメや有名漫画の展覧会が多数開催される。連載40周年を迎えた『シティハンター』の大規模展、『デジモンアドベンチャー』と『おジャ魔女どれみ』の合同展など、注目のイベントが続く。
緻密で繊細な原画を楽しんだり、制作秘話をのぞいたり、空想の世界を自由に楽しもう。濃密なアニメ展示を体感してみては。
映画・舞台・音楽
2025年10月のアニメーション映画のリバイバル上映のラインアップは、はっきりいって異常である。『パトレイバー』『エヴァンゲリオン』『もののけ姫』『攻殻機動隊』という平成初期を代表するアニメ映画の金字塔が、まるで乱発手形のごとく矢継ぎ早に公開されるのだ。「今は一体、西暦何年なんだ?」と勘繰ってしまう。
いずれにせよトレンドやクオリティー、歴史的重要性などを踏まえても、マストで観るべき作品ばかりなのは言うまでもない。今回唯一実写作で紹介している『NANA』も、原作・アニメ・映画すべてが平成中期を代表する傑作コンテンツ。今、求められているのは平成なのではないか。劇場でその息吹を感じ、永遠のクラシックにしびれよう。
芸術の秋は極上の舞台芸術を楽しんでみては。歌舞伎座では三大名作の通し上演の最終演目となる『義経千本桜』が楽しめるほか、大竹しのぶがリアを演じる『リア王』や、映画化もされた『焼肉ドラゴン』、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」では、世界の演劇史にその名を刻む故ロバート・ウィルソン演出、フランスの俳優イザベル・ユペール主演の一人芝居『Mary Said What She Said』が上演される。
新国立劇場バレエ団による幸福感に満ちた『シンデレラ』、ウィーン国立歌劇場の来日公演となるオペラ『ばらの騎士』など、ジャンルを超えた不朽の名作舞台が目白押しだ。ぜひチェックしてほしい。
ジャズとは何だろう。スウィングからヒップホップ、アンビエントまでを飲み込む、謎に満ちた音楽だ。10月も東京には、国境を越えた出会いや予想外な響きがあふれている。
オーストラリア出身でここ東京を拠点とするベーシストによる3デイズ公演からロンドンの雰囲気を感じられるジャズダンスイベント、「南米」をルーツとするジャズギタリストの共演まで。本記事では芸術の秋にふさわしい、ジャズの多様性を映し出す5つの公演を紹介する。
Discover Time Out original video