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東京、10月に観たいアニメーション映画のリバイバル上映

平成アニメの金字塔『パトレイバー』『エヴァンゲリオン』『もののけ姫』が大スクリーンにカムバック

Rikimaru Yamatsuka
テキスト
Rikimaru Yamatsuka
作家
GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版
©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
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2025年10月のアニメーション映画のリバイバル上映のラインアップは、はっきりいって異常である。『パトレイバー』『エヴァンゲリオン』『もののけ姫』『攻殻機動隊』という平成初期を代表するアニメ映画の金字塔が、まるで乱発手形のごとく矢継ぎ早に公開されるのだ。「今は一体、西暦何年なんだ?」と勘繰ってしまう。

いずれにせよトレンドやクオリティー、歴史的重要性などを踏まえても、マストで観るべき作品ばかりなのは言うまでもない。今回唯一実写作で紹介している『NANA』も、原作・アニメ・映画すべてが平成中期を代表する傑作コンテンツ。今、求められているのは平成なのではないか。劇場でその息吹を感じ、永遠のクラシックにしびれよう。

『機動警察パトレイバー 劇場版』(1989年)

機動警察パトレイバー 劇場版
機動警察パトレイバー 劇場版

1989年に公開された傑作劇場版アニメーションが4K版でリバイバル。監督は『攻殻機動隊』の押井守。押井特有の哲学的視点を交えつつも、娯楽性に富んだ本作は、「押井守作品の中でもかなりとっつきやすい」とされている。

シリーズ初見の観客にも巧みに説明しつつ、ファンサービスもしっかり忍ばせ、かつサスペンスを散りばめた脚本はかなりハイレヴェル。キリスト教的要素を散りばめたSFアニメという点においてもエヴァンゲリオンの先駆であり、全編に先見の明が光る。公開当時はおそらく大衆の理解を得るに至らなかったOS(オペレーション・システム)などの舞台設定は、むしろ今こそオンタイムともいえる。

新宿ピカデリー」「池袋HUMAXシネマズ」ほかで10月3日(金)から2週間限定上映。また本作の続編となる『機動警察パトレイバー2 the Movie』も10月17日(金)から限定上映される。

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『もののけ姫』(1997年)

もののけ姫
©1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDもののけ姫

名作多数の宮﨑駿ワークスの中でもトップクラスの人気と評価を誇る、スタジオジブリの超傑作が4Kデジタルリマスター&IMAXスクリーンで蘇る! 

タタリ神から死の呪いを受けた青年アシタカが、なんやかんやあって森の神々と人間の争いに巻き込まれるという諸星大二郎リスペクトな民俗学アクションファンタジー大河で、16インチのブラウン管テレビで観ても超絶面白いのに、それが4K+IMAXで襲い掛かってくるというのだからもはや事件である。

筆者は本作を地球上で一番最高の映画だと思っているので、申し訳ないが冷静なコメントは不可能だ。近年はジブリ作品を知らない若人が増えていると聞くが、もし『もののけ姫』という映画を観たことがないなら絶対観た方がいいぜ。

TOHOシネマズ新宿「グランドシネマサンシャイン池袋」ほかで、10月24日(金)から全国のIMAX劇場で期間限定公開。

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『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997年)

アニメ史に燦然(さんぜん)と輝く伝説の衝撃作『エヴァンゲリオン』。シリーズ30周年を記念して劇場版6作のリバイバル上映が決定した。2025年10月から2026年2月までの間、各月に1作品(10月は2作品)、それぞれ1週間ずつの期間限定で上映する。どれもマストで要チェキだが、やはりここで取り上げたいのはやはり『Air/まごころを、君に』だ。

テレビ版のラスト2話を完全新作で描きなおしたアナザーエンドストーリーであり、色んな考察がされているけれども結局のところ、不本意にも時代の寵児に祭り上げられた庵野秀明の「おまえらアニメばっか観てないで外出ろ」という魂の叫びなのではないかと筆者は思っているが、その発狂&説教は多くのオタクの心に深い傷跡を残した。おそらく我が国で最もヒットした実験映画。

ぜひこの機会に大スクリーンで鑑賞して、どんよりした気分で劇場を後にしよう。

新宿バルト9」「丸の内ピカデリー」ほかで、10月24日(金)から10月30日(木)まで上映。

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「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年)

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版
©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

かの『AKIRA』と並び、今なお世界中に影響を与えまくり続けるサイバーパンクジャパニメーション映画の超傑作が、公開から30周年を記念して全国リバイバル上映が決定。

サイボーグ技術が一般化した近未来を舞台に、テロに立ち向かう特殊部隊「公安9課」の活躍を描くSFアクションで、士郎正宗のコミックを原作として押井守が監督を務めた。本作は押井恒例の原作ガン無視っぷりが奇跡的に全て良い方向に転んでおり、シンプルに娯楽映画としてものすごくよくできているしマジでカッコイイ。

難解なイメージを持たれがちな映画だが、ストーリーテリングが非常に巧みなので、原作やアニメ未履修でもシッカリ愉しめる。AIやらVRやらメタバースやらが一般化した今こそ観たい。

池袋HUMAXシネマズ」「キネカ大森」ほかで、10月31日(金)より4Kリマスター版で2週間限定上映。

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『NANA』(2005年)

NANA
映画『NANA』リバイバル上映決定(C)2005 『 NANA 』 製作委員会

アニメ映画ではないが、矢沢あいの人気漫画を原作とする『NANA』が、渋谷「WHITE CINE QUINTO」でのリバイバル上映の大盛況を受け、スクリーンに再び帰ってくる。

新幹線で偶然出会った、同名で同い年の2人の女性。東京でビッグになることを夢見るパンクバンドのヴォーカル・大崎ナナと、東京にいる彼氏の元へと向かう恋愛体質の小松奈々の、挫折や恋模様を描いた平成日本を代表する超怪作だ。

演出、ファッション、メイクなど全てが「ザ・平成」であり、20年をへた今観ると、もはや一抹の切なさすら感じる。矢沢あいの再評価の機運高まる今こそ鑑賞したい。また、原作も凄いところで中断しているので、続きが気になるところだ。

余談だが、原作のトリビュートアルバムに、元セックス・ピストルズのグレン・マトロックと、ドラマーのポール・クックの愛娘ホリー・クックが参加していることはもっと知られるべきだと思う。

TOHOシネマズ新宿」で、10月3日(金)から公開。

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