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超傑作時代劇からカルト映画まで、秋に観たいあの作品
2025年10月、そして11月はリバイバル上映が熱い。別にそんなこと言ったら去年の秋だって熱かったし、きっと来年も再来年の秋も熱いのだろうが、とにかく熱いのである。
何せこの世で一番面白い映画という説すらある超傑作エンターテインメント時代劇『七人の侍』から、先日逝去した名優であり名監督のロバート・レッドフォードの代表作『リバー・ランズ・スルー・イット』、シネフィルはいろいろ口汚いこと言うけど映像はマジでヤバいんだからいいじゃんなカルト名作『落下の王国』まで、幅広く盛り沢山なのだ。
読書も食事もスポーツも大いに結構だが、この秋は名作映画に大スクリーンで触れまくるのもいいだろう。
『七人の侍』(1954年)
黒澤明による大作映画。野盗の襲撃に窮した村が、個性豊かな7人の侍を雇ってバトルを繰り広げるという話だが、本当にありえないぐらい面白い。「ビフテキの上にバターを塗り、さらにウナギの蒲焼きを乗せたような映画」を目指して作られた本作は、207分という長尺ながら、1秒足りとも飽きさせない娯楽の神髄であり、「時代劇とか興味ねーよ」とか「70年以上前の白黒映画とか古臭せー」などとうそぶく人も、観ればあまりの面白さに驚愕するはず。
現在の価格だと約40億円ともいわれる巨額の製作費がかけられているが、今となっては400億円かけても撮れないだろう。兜とか普通にガチ国宝レベルの使ったりしてるらしいし。「音が悪すぎて何言ってるか分からない」ということでも有名だが、実はこの問題は公開当時から指摘されている。新4Kリマスターによって70年越しの問題解決となるか。
「グランドシネマサンシャイン池袋」「TOHOシネマズ新宿」ほかで、10月17日(金)から11月6日(木)まで限定上映。
『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)
今年9月16日に、89年の生涯を閉じた映画人、ロバート・レッドフォードへの追悼を込めて、監督作『リバー・ランズ・スルー・イット』と主演作『追憶』の4Kリマスター版が上映される。ハリウッド屈指の美男俳優であり、数多くの名作に出演しながら監督やプロデューサーとしても確かな手腕を発揮した彼の代表作だ。
『リバー・ランズ・スルー・イット』は、1920年代のモンタナを舞台に、フライフィッシングで結ばれた対照的な兄弟の確執と葛藤を描く、とてもアメリカ文学的なヒューマンドラマ。雄大な自然を見事にとらえた映像美は高く評価されアカデミー賞撮影賞を受賞した。
そして、何と言っても見どころはやはり主演のブラッド・ピットで、当時28歳のブラピの美貌たるやまぶしいほどにハンサム。LINE交換してくれ。地味だがとても味わい深い良作だと思う。
「Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下」で、10月1日(水)から9日(木)まで限定上映。
『KIDS/キッズ』(1995年)
ユースカルチャーを捉え続ける写真家、ラリー・クラークの監督デビュー作にして、鬼才ハーモニー・コリンが脚本を手がけ、名匠ガス・ヴァン・サントが制作総指揮にあたった、1990年代を代表する伝説的青春映画がスクリーンにカムバックする。
ティーンエイジャーたちのセックス&ドラッグ&バイオレンスに満ちた24時間を描いており、嫌悪と不快を掻き立てるリアルな映像はハッキリ言って超絶に胸くそだ。しかし、当時スケーターブランドのセレクトショップであった「Supreme」が衣装協力しているほか、サントラにもダニエル・ジョンストンらが参加しているなど、あらゆる点で先鋭的なセンスが際立つ。
不謹慎極まるスキャンダラスなドラマは、公開から30年を経た今なお衝撃的。
「新宿シネマカリテ」「ホワイトシネクイント」ほかで、10月17日(金)から全国上映。
『落下の王国』(2006年)
とにかく映像がヤバいことで有名な映画が、4Kリマスター&オリジナル版ではカットされたシーン追加され、装いも新たにスクリーンに登場する。
半身不随になったスタントマンが少女にファンタジーな作り話を語って聞かせる……という地味そうなストーリーから矢継ぎ早に繰り出されるブッ飛び映像! CGもほとんど使っていないというからブッタマゲ! 4年の歳月をかけて24カ国以上で撮影されたエスニック映像美たるや実に強烈で、「こんな場所マジで実在すんの!?」と鑑賞中20回は口ずさむこと請け合いだ。
口汚いシネフィルは本作について「ブラザーズ・クエイとかホドロフスキーとかパラジャーノフのパクリじゃん」と言うが、面白いからいいじゃーん! 実際画すげえし!
「新宿武蔵野館」「アップリンク吉祥寺」ほかで、11月21日(金)から全国上映。
『タイムズ・スクエア』(1981年)
1990年代ギャルの聖典的映画『エンパイア・レコード』で知られるアラン・モイルの監督デビュー作。パンク少女ニッキーと箱入り娘パメラが精神病院を脱走し、ニューヨークの廃倉庫に住み着きながら、深夜放送のラジオDJジョニーの助けを借りてパンクバンドを結成し、不良街道を爆走してゆく青春映画だ。
「家出もの」としても「ガールズフッドもの」としても「最高の一夜もの」としても「ニューヨークもの」としても「バンドもの」としても傑作。音楽もファッションも素晴らしい。ニューヨークの治安が最も悪かったといわれる1980年に全編ロケ撮影で制作されたというのも気合入ってる。
「下高井戸シネマ」で、10月25日(土)から31日(金)まで限定上映。
『ウエスト・サイド物語』(1961年)
スラム街の不良グループ、ジェット団とシャーク団が縄張りを巡って大喧嘩! しかしジェット団の元リーダー・トニーと、シャーク団の現リーダーのベルナルドの妹・マリアが恋に落ちてしまい、色々となんやかんや起こるミュージカル映画の金字塔だ。
『ロミオとジュリエット』を現代のギャングに置き換え、プエルトリコ移民とイタリア移民の確執を描き出した脚本は、今見るだに秀逸だし、色彩と躍動感に満ちた画面は不朽の輝きに満ちている。名匠レナード・バーンスタインによる音楽もすばらしい。
「TOHOシネマズ新宿」「イオンシネマ多摩センター」ほかにて、11月7日(金)から2週間限定上映。
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